『ビギニングアイドル』 シナリオ「もう一つのウルトラノヴァ」 作:平野累次 はじめに  このシナリオは、「ウルトラノヴァ」という有名なアイドルの楽曲をカバーすることになったPCたちの「チャンス」と「プレッシャー」を描いたシナリオです。  本シナリオは、『ビギニングアイドル 基本ルールブック』に慣れるためのものです。 シナリオ概要 プレイヤー人数:2人から5人 ゲームモード:通常 対応ワールドセッティング:大手芸能プロダクション、弱小芸能プロダクション、情熱の夏、ぬくもりの冬 クラウン路線推奨(ティアラ路線でも遊べます) 使用追加ルール:なし シナリオのあらすじ  数年前のアイドル戦国時代に、「ウルトラノヴァ」という曲が発表されました。  若き有名作曲家の「神楽木公一」が作曲したもので、日本の歌謡曲売り上げナンバーワンを記録したヒットソングです。  PCたちは偶然にも神楽木公一と出会い、ウルトラノヴァのカバーをレコーディングし、さらには音楽番組で「お披露目」をすることになるのですが……。  センターPCは、ヒットソングの重圧にプレッシャーを感じます。 PCの立場  このシナリオでは、PC全員は「ある程度活動をしているアイドル」となります。  どれほどの知名度なのかは、プロデューサーが決定してください。  センターPCのプレイヤーにプロデュースカード(後述)を渡すのを忘れずに行いましょう。  サポーターは、そんなPCたちを支えるスタッフやマネージャー、プロデューサーや友人などです。 NPC ・神楽木公一(かぐらぎ・こういち) 男性 20代後半 人称:わたし・〜くん、(年下には)〜ちゃん  世界でも有名な作曲家であり、「ウルトラノヴァ」を生みだした作曲家です。  難病を抱えており、時々発作で苦しそうにします。  スランプを抱えており、新曲を発表できていません。  「紗理奈」という妹がいます(ランダムイベント「歌声はお腹から」で登場します)。  有名財閥の御曹司でもあります。 オープニングフェイズ  PCたちは、「デビューを終えて活動を開始している」ユニットです。  そのことを念頭に置いて、ユニットシートを埋めていきましょう。  自己紹介では、後の「●アイドルスタート」で行います。 ●アイドルスタート  PCたちはいつものレッスンを終えて、帰り道を歩いています。  そんなPCの側に高級車が停まり、中から息も絶え絶えな美青年が転がり落ちてきます。  プロデューサーは、以下の文章を読み上げてください。  美青年は歩道に転がりこみ、胸を抑えてうめき声をあげ始めた。 「ううっ! 苦しい!」  どうやら、ただ事ではない様子。  美青年はPCたちの姿を見つけると、高級車を指さしてこう言った。 「た、助けてください! あの車の鞄に、薬が入っています……!」  プロデューサーは、高級車の中に鞄があり、その中から薬とたくさんの楽譜(いずれも大きなバツの字が書かれています)が入っていることを伝えてください。  PCたちは言われた通りに薬を渡します(PCたちが渡さない場合は、何かいろいろ理由を考えて渡すようにしてください)。  薬を渡すと、美青年は落ち着きを取り戻します。  PCたちは、この美青年が「ウルトラノヴァ」を産み出した作曲家で財閥の御曹司である神楽木公一であると気付きます。  神楽木公一はPCたちに、「ありがとう。僕の名前は神楽木公一。キミたちの名前を聞いていいかな。お礼がしたいんだ」と言います。  ここで、PCたちは自己紹介を行います。  自己紹介を終えたら、神楽木公一は「もしかして、君たちはアイドル?」と聞きます(もし、自己紹介でアイドルであることを伝えた場合、省略します)。  神楽木公一は、「それなら、頼みがあるんだ。ウルトラノヴァを歌ってほしい!」とPCたちに頼み込みます。  どうやら、神楽木公一はスランプを抱えているらしく、「どうしてもあのヒット曲を超えるイメージが湧かないんだ」と悩んでいるらしいです(趣味のドライブをしながらその悩みを吹き飛ばそうとしたようですが、その最中に発作が起こったようです)。  そこで、「大切な曲でもあるウルトラノヴァから新しい刺激を受ければ何かインスピレーションが浮かぶのではないか」と考えて、その提案をしたようです。  もし、PCたちが(キャラクターとしての)プロデューサーやプロダクションの判断が必要だと感じた場合、神楽木公一が説得に行き、すぐに許可を貰ってきます。  ということで、PCたちは偶然から「ウルトラノヴァ」をカバーすることになりました。  レコーディングの日程や音楽番組での「お披露目」の日もあっという間決まり、PCたちとその周辺は慌ただしくなります。  このシナリオの【目標ボルテージ】は、サイドPCは「20」、センターPCは「25」です。 ●空白の決定  空白の決定を行う前に、センターPCと「ウルトラノヴァ」について描写していきます。  センターPCは、昔から得意の曲として「ウルトラノヴァ」を歌っていました。  カラオケなどで、他のPCも聞いたことがあるでしょう。  今回は正式な依頼としてカバーすることになり、「普段とは違う真剣な気持ち」で挑む必要があると感じることでしょう。  それだけに、重圧も感じます。  このタイミングでプロデュースカード(「内容」は下記を参照してください)にある、空白の内容を決定します。  このさい、センターPCのプレイヤーにプロデューサーは「その中に好きな歌詞を考えて入れてください」と伝えてください。 ●このシナリオのプロデュースカード  ウルトラノヴァは、自分の世代ならだれでも知っているような大ヒット曲だ。  自分もこの曲が大好きだ。  辛いとき、苦しいとき、「      」という歌詞に励まされてきた。  それを偶然とはいえ、自分がカバーすることになった。  いつも得意になって歌っている曲だけど、それだけに緊張をしてしまう。  声が震える。失敗してしまったらどうしよう。 ドラマフェイズ  PCたちは、一か月後のレコーディングと音楽番組出演に向けて活動をしていきます。  ランダムイベントを使用して進行していきます。 駆け出しフェイズ  レコーディングの日が近づいていますが、センターPCの緊張は解れないままです。  「理解ある仲間の登場」では、そんなセンターPCを仲間たちが気遣い、力になることができます。  駆け出しフェイズの行為判定に成功することができれば、その緊張を「ほどよい緊張感」に変えたり、真剣に歌う力に変えたりすることができます。  成功した場合、センターPCは自分だけの歌の表現を見つけることができます。 オンステージフェイズ  このシナリオのオンステージフェイズでは、PCたちのレコーディングと音楽番組出演を描きます。  レコーディングは、プロダクションが指定したスタジオで行います。  音楽番組は、東京にあるテレビ局のスタジオで行います。  つまり、このシナリオでは二つの舞台があるということです。幕間を挟んで舞台を移動します。  オンステージフェイズは、ルール通り進行していきます。使用するステージシートは、以下の「●このシナリオのステージシートの内容」を参照し、埋めてください。  「衣装」のとき、プロデューサーはPCたちのユニットテーマに合うような衣装ブランドを1つ選んでください。特に思いつかない場合は、「Starlight TourS」になります。  衣装ブランドのコーデと、コンセントレーション後、ルールに従って各演目を進行していきます。  このシナリオの後半プレッシャーは「4D6」です。ルール通り、幕間になったら公開しましょう。 ●このシナリオのステージシートの内容  ・参加ユニット PCたちのユニット名が入ります ・活動内容 レコーディングと音楽番組出演 ・会場 レコーディングスタジオとTV局スタジオ ・前半プレッシャー 2D6 ・後半プレッシャー 4D6 (この値は幕間になるまでプレイヤーにはわかりません) ・特殊効果 なし ●開幕演目 ・演目名 カバーソングレコーディング開始 ・指定特技 《音楽/趣味11》 ・能力値 ボイス  この演目では、レコーディングスタジオでPCたちがウルトラノヴァをカバーし始めたところを描きます。 ●第一演目 ・演目名 カバーソング収録中 ・指定特技 《集中力/才能4》 ・能力値 ボイス  この演目では、レコーディング中のPCたちを引き続き描いていきます。 ●第二演目 ・演目名 カバーソングサビ ・指定特技 《スター/属性12》 ・能力値 ボイス  この演目では、ウルトラノヴァのサビの部分をレコーディングしていきます。 ●幕間  幕間では、レコーディングを終えたPCたちが、数日後に行われる音楽番組出演に向けて準備するところを描いていきます。  その準備中に、神楽木公一からPCたちに連絡が入ります。  神楽木公一は、「キミたちの歌、聞かせてもらったよ。新しい息吹を感じさせる、いい歌だった! 何かが降りてきた気がする!」と興奮しています。  そして、「音楽番組に出演するんだよね。僕もピアノで一緒に出演するよ!」と伝えてきます。  どうやら、音楽番組で行う歌の披露に、神楽木公一も参加するようです。 ●第三演目 ・演目名 音楽番組でのトーク ・指定特技 《物腰丁寧/キャラ10》 ・能力値 ボイス  この演目では、音楽番組に出演したPCたちが、まずはトークでうまく自分たちをアピールできるかどうかを描いていきます。 ●第四演目 ・演目名 「何か特技とかありますか?」 ・指定特技 好きな特技 ・能力値 フィジカル・ビジュアル  この演目では、音楽番組の司会から「PCたちがどんな特技を持っているのか」と話を振られたとき、どう対応するのかを描きます。 ●最終演目 ・演目名 カバーソング「ウルトラノヴァ」 ・指定特技 好きな特技 ・能力値 ボイス  この演目では、PCたちが音楽番組でウルトラノヴァを歌う姿を収録します。神楽木公一も現れ、ウルトラノヴァのピアノを弾きます。  最終演目が終了したところで、オンステージフェイズは終了し、リザルトフェイズに移ります。 リザルトフェイズ  センターPCが大成功している場合、神楽木公一と共演したのもあって、PCたちは世間から注目されるアイドルとなります。  センターPCが成功している場合、世間から「あのウルトラノヴァをカバーしたアイドル」として認知されるようになります。  センターPCが失敗した場合、PCたちの知名度にそれほど変化は起こりませんが、センターPCは満足感を得ます。  エピローグでは、各PCの今後を描写していきましょう。  すべての処理を終了した後、このシナリオを終了します。お疲れ様でした。 IDOL MEMO ・有名作曲家と関わりつつ、有名な曲をカバーするお話です。 ・「誰もが知っているような有名な曲」へのプレッシャーを描いていこう! ・ウルトラノヴァは『ロードトゥプリンス』のシナリオでも登場していた一曲。もし、遊んでいたプレイヤーがいる場合、そのときのことを聞いて演出に入れてみよう。 (C)2022 冒険企画局 (C)2022 平野累次