第7話 託されたもの Knight Sword
空も明るくなった早朝に、きみたちはランズの町に到着した。
さあ、冒険を再開しよう。

フィリア
よーし、頑張るぞー!(ふんす
アレン
さっきまで寝落ちしてたわりにゃあ元気じゃねーか。
やっぱ若さってやつか? 羨ましいねぇ。

ブレンダ
バカ言ってんじゃないよ。
アレンだってまだ18なんだよ? 同い年のアンタがジジイみたいなこと言ってたら、アタシまでババアって事になっちまうだろ!

アレン
ハッハハハ! そりゃ悪かったな!!
けどさ、ブレンダってけっこー母親っぽいとこあるじゃねーか?

ブレンダ
はいはい。そうだね。
手間のかかる子供の面倒見るのはホント大変だよ。

アレン
おい、ハリー、フィリア、言われてっぞ?

ブレンダ
アンタに言ってんだよッ!


フィリア
あ〜、ははは・・・。
再開早々に、また始まっちゃったね。

ハリー
まあ、あの二人にしてみれば挨拶みたいなものですし。
アレン
——っと、着いた着いた。
ほら、まずはここで一休みだ。


ハリー
ここは?
アレン
騎士団と契約している宿屋でな。遠征時なんかには優先して利用できるように取り計らってくれる。もちろんしっかりカネは取られるが、請求書は団に送られるから、手持ちが心もとなくても安心して使えるって訳だ。


フィリア
そっか・・・物資は馬車ごと盗賊団に奪われちゃったから・・・。

ハリー
騎士団が盗賊に馬車と物資を奪われたなんて知れたら、赤っ恥ですね。
アレン
おま・・・けっこー毒舌なとこあるよな。


ハリー
いえいえ。信頼している方々相手だからこその軽口ですよ。
ブレンダ
そんじゃ、宿屋のオヤジに話を通してくるから。
フィリアとハリーは馬の鞍を外してやってから、水をやっといて。

ブレンダ
で、小隊長殿はアタシと一緒に、宿屋のオヤジに事情を説明して赤っ恥をかいてもらうからね。

アレン
うへぇ。
そりゃ気が重いぜ。


フィリア
あははは・・・隊長、よろしくお願いしまーす。

フィリア
ランズの町の様子はどんな感じです?

フィリア
ふおおおっ・・・待って待って。
メモすることが多い多い・・・。

ハリー
僕もメモしておきますので、後で情報をつきあわせて資料化しましょう。

フィリア
うん。
ありがと。

フィリア
はい。
おねがいしまーす。

ハリー
なかなかの規模ですね。
ランズの町にはどんな施設があるんです?

フィリア
ほえ〜。わりとしっかり町の設定ができてるんですね。
しかも大きめの教会もあるとか、シナリオ展開的にかなり重要な街と見た。
それと、ブレンダに何かやっておくように言われてたんじゃないのかな?

フィリア
あ、そうだった。
馬から鞍を下ろして、お水飲ませてあげなきゃ。

ハリー
おっと。
そうでしたね。

フィリア
ついでに、ブラシッングして労ってあげよう。
なんたって、二人ずつ乗せて徹夜で頑張ってくれたんだもんね。

ハリー
いいですね。
僕も手伝いますよ。
アレン
おっ? ブラシまでかけてやってるのか。
気が利くねぇ。


フィリア
えへへへ。
リアス湖からここまでお世話になりましたから。
アレン
馬は騎士にとって大切な相棒だからな。
その心がけを忘れんなよ?


フィリア
はい!

ハリー
肝に銘じます。
アレン
で、だ。2階に部屋をふたつとった。
1つは俺とハリー、もうひとつはブレンダとフィリアで使え。

アレン
荷物は馬車ごと持ってかれたからそう多くは無いが、とりあえず部屋に置いてこい。それが済んだら朝メシを食ってから調査を始めるぞ。


フィリア
了解しましたっ!
ではでは、ハリーくん、またあとでね!

ハリー
では、僕も部屋に荷物を置いてきます。
当面、ザックの中身の食料や薬草、水筒なんかは置いて行っても大丈夫そうですしね。

ハリー
お待たせして申し訳ありませんでした。
ブレンダ
気にするほど待っちゃいないよ。
じゃ、食べようか。

アレン
ふーっ。食った食った。
ごっそうさん。

ブレンダ
ほんと、ついさっきまで死にかけてたくせに、どんだけタフなんだか。


ハリー
師匠、もう大丈夫なんですか?
アレン
おう。薬草も使ったし、しっかり食ったし、もうバッチリだぜ!

ブレンダ
そんな訳ないだろ・・・アンタはこの後、診療所に強制連行だからね?

アレン
大袈裟だって。
もう大丈夫だからよ。

ブレンダ
口答えするんじゃないよ。引きずってでも連れて行くからね。
小隊長がそんなじゃあ、部下が怪我した時に同じように無理しちまうだろ?
上官が、そういう悪い見本になるのはいただけないね。

アレン
うへぇ。
マジで母親みてぇだな。

ブレンダ
次、それ言ったら問答無用でブン殴るからね?

アレン
・・・・・・。

ブレンダ
てな訳でさ、アタシはこの馬鹿を診療所に連れて行くから、フィリアたちは二人で情報を集めときな。

ブレンダ
団長の言ってた"ガラの悪い連中"ってのがどこに集まってるのかとか、何か面倒ごとをおこしてないかとかさ。


フィリア
そう言えばその件なんですけど、騎士団に情報が入ったってことは、この町にも騎士団員が駐屯してるってことです?
ブレンダ
残念だけど、騎士団は年中無休で人手不足でね。
ランズの町については、腕っぷしの強い奴らも多いってんで、自警団的な連中に任せてるのさ。


フィリア
じゃあ今回の情報源は、自警団から?
ブレンダ
自警団からじゃないよ。
匿名で騎士団に手紙が届いたんだ。


ハリー
つまり、通報者は不明で、通報内容が事実かどうかも不明ということなんですか・・・。
ブレンダ
信憑性の低い情報ではあるけどね。
だからこそ、実際のところもひっくるめて調査し、解決可能であれば対処しろってのが今回の任務さ。


フィリア
了解です!
任せておいてください!
アレン
話は終わったか?
なら、とにかくまずは食え。
食って力をつけて、しっかり働いてこい!


ハリー
・・・承知しました。

フィリア
あれ? ハリーくん、何か不安ごと?
ブレンダ
え?

アレン
ん?


フィリア
ほえ? 私、何か変なこと言いました?

ハリー
・・・驚きましたね。
僕が一瞬言いよどんだだけで、そこまで察しますか?

フィリア
ふっふーん。乙女の直感ってやつ?
で、ハリー君の不安ごとは何かな?
先輩に話してごらん?
ブレンダ
こーら。調子に乗るんじゃないよ。

アレン
で、どうしたんだ?
この任務について、まだ腑に落ちない点でもあるのか?


ハリー
いえ、任務そのものへの蟠りみたいなものは無くなりました。
確かに、湖畔で遭遇した謎の怪物の件も気にはなりますが、当面の不安材料は武器ですね。

フィリア
あー、そっか。
ハリーくん盗賊との戦闘で剣壊しちゃったから。
アレン
ンだよ、そーういうことは早く言えっつーんだよ。

アレン
ほれ、持ってけ。


ハリー
・・・そんな!
見習いの僕が正騎士の剣を預かる訳には!!
アレン
いいから持って行け。

アレン
確かに、いくら剣の腕が立つからって、砦を出発する前のハリーならこの剣は扱えなかったかもしれん。だが、実戦を経験してハラを括った今のお前なら大丈夫だろう。


ハリー
・・・しかし・・・。
ブレンダ
受け取っときな。
アンタはアレンの自慢の弟子なんだ。そんなアンタが武器無しで歩いてて怪我でもされたら、こいつが落ち込んじまうだろ?


フィリア
そうだよそうだよ。
せっかくなんだから貰っちゃえ!
アレン
おい! やるんじゃねぇぞ?
貸すだけだからな!!

アレン
けどまぁ、ハリーがその件に相応しい漢になった時は、喜んで譲ってやるよ!


ハリー
・・・承知しました。
その言葉、心に刻んでおきます。

フィリア
・・・・・・くぅ〜っ!
ブレンダ
・・・フィリア?


フィリア
『覚法』持ってればチャレンジできたのにぃ〜。

ハリー
・・・?
『覚法』でチャレンジしてどうするんです?

フィリア
だって、アレン隊長がむっちゃフラグ立ててるんだもん。なんかこう、虫の知らせとか、いや〜な予感とか、そういうの察知できないかなって?

フィリア
こうなったら『気性』を使ってチャレンジしてみようかな?

ハリー
ほんと、そんなことに『気性』使うのやめてくださいよ先輩。
どうしても気になると言うなら、僕が『覚法』でチャレンジしますから?
そんなに気になるなら、判定するけど?

フィリア
いえ・・・いいです。
ブレンダ
さっきからアンタたちは何をブツブツ言ってるんだい?


フィリア
あははは。
ちょっと先走りすぎました。
ブレンダ
相変わらず、変な子だねぇ。
・・・そう言えば、先走りで思い出したけどさ。アンタ察しはいい方なんだから、もう少し危機感を持って行動しな。

ブレンダ
リアス湖の破片の件とかもそうだけどさ、好奇心を抑えきれずに行動しちゃうとこがあんだろ?

ブレンダ
あの時はケムリみたいに消えちまっただけだから良かったけど、もしあそこで噴き出したのが猛毒だったり、それこそ爆発でもしてたらアンタ死んでたかもしれないんだからね?


フィリア
・・・はい。
ごめんなさい。
アレン
やっぱ母親み——

