第1話 冒険の幕開け
Adventure Begins
『光の地帯』には光の住人が、『闇の地帯』には闇の住人が、そして、『黄昏の地帯』には黄昏の住人が、それぞれ住んでいた。
闇の住人も『黄昏の地帯』には入れるが、『光の地帯』には入れない。
黄昏の住人のみが、いずれの地帯へも入ることが出来る
それが、のちに言う『精霊大戦』である。
まぁ、フィリアにとっては『精霊大戦』以前の事については説明するまでもないってところだろうけどね。

フィリア
それはもう!
リプレイもルール編もボロボロになっちゃうくらい読みましたから!
では、まずはフィリアの今の状況について説明しよう。
君が籍を置く『暁の騎士団』は、アンフィニー領のマニスター島の北にあるノーサスという海辺の町に拠点を置いている。

フィリア
なるほど。島の警備を務める騎士団という訳ですね。
それと、ノーファス海峡を守る重要な役割も受け持っている感じ、ですよね?
ノーファス海峡は海の玄関口であると同時に、アンフィニー国にとって海上貿易の生命線でもあるからね。『暁の騎士団』の砦は、港町であるネリルを対岸から警備する重要な役割を担っているという訳だ。

フィリア
そんな重要な役目を担う騎士団に所属しているなんて、とても誇らしいですっ!

フィリア
ふむふむ。典型的なモット・アンド・ベーリー型ってやつですね。

フィリア
いや~、中世ヲタクなのもでぇ~。
でも、直径100m規模の物ともなると、木造のモット・アンド・ベーリー型にしてはちょっと大きい感じですか?

フィリア
砦って言うより、何か学校みたいな感じなんですね。

フィリア
ふむふむ。人材育成に熱心な団長と予想!
どうやら、君に用があるみたいだね。一直線にこっちに向かって来ているよ。
精悍な女性
よぉ、フィリア。
ちょっと顔貸してくんないかな?


フィリア
ふえっ!?
ななな、何ですか?

フィリア
ほえ~。
なんかこう、カッコ良くて頼りがいのあるお姉さんって雰囲気がびしびし伝わって来ますねぇ。
ブレンダ
・・・なーにポカンとしてんだい? アタシの顔に何かついてる?


フィリア
うわー、姐さんキャラですね! かっこいい!!
ブレンダ
おいおい、何なんだよ?
もう1年の付き合いになるってのに、初めて会ったみたいな顔してるじゃないか?


フィリア
あ。ご、ごめんなさい。
何か今日、ちょっと舞い上がっちゃってて。えへへへ
ブレンダ
・・・? 変な子だねぇ


フィリア
そういう大切な事は、もっと早く教えてくださいよー。
ブレンダ
・・・ふふっ。フィリアの面倒を見るようになってから、もう1年になるんだねぇ。
はじめは剣の持ち方もおぼつかなかったアンタが、よく1年間見習いとして頑張ってこれたもんだと感心してるよ。

ブレンダ
まぁぶっちゃけ、その日のうちに逃げ出すと思ってたんだけどね。


フィリア
ありがとうございますっ!
これもひとえに、先輩のご指導のたまものですっ!!
ブレンダ
ほんっと、元気だけは一人前なんだよな。
はははっ。


フィリア
ところで先輩・・・
ブレンダ
・・・ブレンダでいいって、いっつも言ってんだろ?


フィリア
あ、はい。ブレンダさん。
ところで、私に何か御用があったんじゃないんですか?
ブレンダ
いっけね。忘れてた。
団長がお呼びだよ。


フィリア
団長が、ですか?
ひょっとして私、クビになっちゃったりとか?
ブレンダ
あのバカならともかく、アタシも呼ばれてるんだ。それは無いだろ? それに、騎士団はいつだって人手不足なんだ。逃げ出しゃしない限りは、徹底的にコキ使ってやるのが『暁の騎士団』流だからね。


フィリア
ふぇ~。そんな人から1年間指導を受けてたのかぁ。
・・・って、見とれてる場合じゃないですね。
ところで・・・あのバカって、誰の事だろ?
それよりいいの? ブレンダが行っちゃうよ?

フィリア
あ、はい! 急いでフレンダさんの後を追いますっ!!
ブレンダ
居た居た。やっぱりここか。


フィリア
ブレダさんと同じ腕輪かぁ・・・おそろい、ってことはないだろうから、正騎士の身分証的な装身具か何かなんでしょうかね? もう一人の男性はどんな感じの人です?

フィリア
おーっ、熱血系ゴリマッチョとクール系細マッチョ・・・って感じですね?

フィリア
あわわわ。
ブレンダさん、放っておいて大丈夫なんですか?
ブレンダ
ここに来てから1年になるってのに、相変わらずフィリアは心配性だねぇ。
まぁ見てなって。


フィリア
えっ!? ちょっ!! ストップ! ストーップ!!
ブレンダ
へぇ・・・あのバカに『剛腕』を使わせるなんて、ずいぶんウデを上げたじゃないか。

ガタイの良い男性
いよぉ! ギャラリーが居たんなら、もっとド派手に暴れときゃよかったぜ!
そうすりゃ、俺の凄さもばっちりアピールできてたよな!!


フィリア
豪快系ゴリマッチョですねー。
良き良き。

線の細い青年
おはようございます。
ブレンダさん、マルチェス先輩。

フィリア
んお?
青年の方は、私の後輩なんですか?

フィリア
ちょっと待って、情報量が多い多い!
メモとんなきゃ・・・

フィリア
はい。お願いします。
ブレンダ
アレン、今のはけっこうヤバかったんじゃない?

アレン
あー、ちょっと冷や汗かいちまったな。こいつぁマジで天才だぜ。
青っちょろいひょろひょろのお坊ちゃんだと思ってたが、たった半年でここまで強くなりやがった。もう剣術じゃあ俺も敵わねぇ。


ハリー
いえ。僕なんてまだまだです。

フィリア
入団して半年で、正騎士より強いとかすごくないですか?
フィリアはいくつなのかな?

フィリア
えへへへ・・・[1]ですぅ。

フィリア
じゃあ、ハリーくんってめっちゃ強いのでは?
ってか、ブレンダさんって『剣術』いくつなんですか?

フィリア
すっご!!
ブレンダさん、尊敬しちゃいます! 憧れちゃいます!!
ブレンダ
な、何だいイキナリ?


フィリア
でも、そんなすごい人に1年も鍛えてもらって剣術[1]ぃ・・・。
ブレンダ
・・・ホント、何なんだい?
アガったりサガったり、忙しい子だねぇ。

アレン
ところでハリー。
お前ェ、あそこで剣先をちょっと下げて俺を誘ったろ?


ハリー
アレン師匠の打ち込みは重すぎて剣がもたないと思えましたので、流して撃ち返すのが正解と考えました。
アレン
かーっ、まんまとやられたって訳か?


ハリー
防具をつけているとはいえ、まさかあの一撃を手で止められるとは思いませんでしたが・・・。
アレン
流石に実戦ではやんねぇよ。掌どころか腕ごと持っていかれちまうしな!
よーし、そんじゃ次は、コイツで勝負しようぜ!!


ハリー
冗談は止してください。
格闘で僕がアレン師匠の相手になる訳ないじゃないですか。

フィリア
そうなんだ・・・ちょっとアレンさんのキャラクターシート、見せてもらってもいいですか? えーっと・・・
アレンさんの『格闘』は[5]、『剛腕』は[6]ぅ!?
ところでフィリアはどんな感じなんだい?

フィリア
えーっと・・・あははは。
聞かないでくださーい。

ハリー
ところで・・・。

フィリア
ん?

ハリー
・・・マルチェス先輩はどうしてここへ?

フィリア
ブレンダさんに声をかけられて、一緒に来たんです。

フィリア
それとね、ハリーくん。
マルチェス先輩とか堅苦しいですし、フィリアでいいですよ・・・って、あれ?
ハリーくん、よく見たら15歳じゃないですか! 私の方が、年下ですよ?
ブレンダ
よく見たら・・・って、どういうツッコミだいそりゃ?


ハリー
・・・年齢は上でも、僕の方が騎士団に入ったのは後ですから。
マルチェス先輩は先輩です。

フィリア
真面目だなぁ。
でもね、もっかい言うけど、マルチェス先輩じゃなくて、フィリアでいいですから。

ハリー
承知しました。
フィリア先輩。

フィリア
硬い、やっぱ硬いですよぉ。

ハリー
そういうフィリア先輩こそ、僕に敬語で話すのはやめてください。
それでは、後輩相手に示しがつかないですよ。

フィリア
うへぇ・・・ハリーくん、なかなか手ごわそうですねぇ・・・。
ブレンダ
はいはい。おしゃべりはそれまで。
団長がお呼びなんだ。あんまり待たせると、お得意のゲンコツ喰らっちまうよ?

アレン
んだよ、そーいう事は早く言えって!
団長がお呼びって事は、新しい任務の話だろ?
ここ最近ヒマで退屈してたとこだし、丁度いいぜ!


フィリア
退屈って・・・ついさっき、あんなに激しい模擬戦やってたのに?

ハリー
師匠はああいう人ですから・・・。
ブレンダ
ほんっと、筋肉バカは暑苦しくってしょうがないね。

アレン
おめーら、何ぼーっとしてやがんだ! 置いてくぞ!!

ブレンダ
・・・やれやれ。
呼びに来てくれた人を置いて先に行くかね、普通さ?


ハリー
し、師匠は・・・ああいう人ですから。
![光と闇のレジェンドiF -皚々たる冀望-[第1章]](images/title_mk002n.png)