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流派ブック 私立御斎学園紹介、あるいは世界の変わる音


冒険企画局スタッフ|2022年07月21日

こんにちは。冒険企画局スタッフです。

この記事では『シノビガミ 流派ブック 私立御斎学園』の紹介をさせていいただきます。
これらは私の主観に基づいた、個人的な感想です。
多分に感情的だったり、大げさだったりする表現が多出いたしますが、あくまでも、私の内面での出来事となります。
ご笑覧いただけましたら幸いです。

本書に目を通して、私の世界が変わる音がしました。

この本では、シノビガミ※のPCたちが所属する組織のひとつ、「私立御斎学園」※について詳しく解説されています。
その中で、私が一番注目せずにいられなかったのは、「半忍」というルールです。
御斎学園には、まだ自分の力をコントロールしきれない忍者※たちも通っています。
そんな中途半端な忍者たちのことを、半忍と呼ぶようです。
友人達とは比べものにならない力をその身に秘めながらも、その力に対し恐怖と畏怖だけを覚えている。そんな少女の姿が思い浮かびます。それでも彼女は、忍者の世界に跳び込みます。ままならない自分の力だけを武器に。
きっと彼女の心には、大きな恐怖と、少しの期待があるはずです。今までの、薄暗いばかりの世界が、大きく変わるという期待です。
そんな想像をし、半忍として作るキャラクターについて考えていたら、半日ほどが経過しました。

まだ、ルールの最初、「半忍とは」という項目を読んだだけです。
この項目には、半忍とは「忍びの血に覚醒しかかっている一般人をプレイするための追加ルールです。一般人の力と忍者の力、両方を持つキャラクターを操作・運用します」と書かれています。
半忍が持っているのは、忍者の力だけではない。一般人※の力も持っているのです。
忍者の力。高速で動き、一目で他人を操る魅力や、素手でビルを破壊するほどの膂力、流星を振らせる妖術などの力。
一般人の力。身体能力こそ忍者には叶いませんが、魔剣へ姿を変えたり、隠し事を見抜いたり、忍者にだけを殺すことができたりといった不思議な力。
その両方を持っている。
最初に思い浮かべた少女が、再び脳内に現れました。
少女は私に問いかけます。彼女の忍者としての力、一般人としての力とはなんなのか。
私の鼓動が高まります。
強い強い期待のためです。小説や漫画ならば、ページをめくるのが恐くなるくらいの期待です。
忍者でもあり、一般人でもあるというのは、どういうことなのか。いよいよ、次の項目「半忍の作成」を読み進めます。
半忍のキャラクターはどう作るのでしょうか。

「流派・階級・流儀」「忍法と奥義」「背景」……項目は細かく分かれていますが、まず、普通に忍者のキャラクターを作るようです。
ただ、忍法※と奥義※は未覚醒という状態だと書かれています。
未覚醒という言葉を読み、また心臓がバクバクし始めますが、深呼吸して、続きを読みます。
「ペルソナ」
一般人の力を表す言葉です。半忍は、このペルソナ※をひとつだけ使える。そう書いてあります。
ひとつだけ使える力。
魅惑的に響く言葉です。

通常の一般人は、このペルソナを二つ使えます。
私は、この一般人というキャラクターがとても好きです。
超人たちの間に紛れ込む、一見脆弱な、しかし状況を変える可能性を秘めた存在。そんな少女。
今まで遊んできたセッションでは、迷惑かとは思いつつも、一般人として参加できるか尋ね続けてきました。
しかし、戦闘力的には忍者に劣る一般人は、少し扱いが難しいのか、ゲームマスターが許可してくれたことはわずかです。
でも、忍者としての力も合わせ持つ半忍ならばきっと。まだ見ぬセッションへの期待までが高まりはじめました。
自分の脈打つ音が聞こえます。

ルールを読み進めしょう。項目は「半忍の運用」と続きます。
未覚醒の忍法と、ひとつのペルソナだけを持つ少女の運命が描かれているはずです。
半忍は、最初、二つだけしか忍法が使えない。
しかし、セッションを通して、他の忍法や奥義が覚醒していく。
覚醒していく。
当然です。そうでなくてはなりません。未覚醒、いまだ覚めざらぬ夢ならば、いつか夜明けはやってくるのです。
覚醒するのは、
半忍キャラクターが【感情】を獲得する。
半忍キャラクターの【生命力】が1点以上減少する。
半忍キャラクターがプラスの【感情】を持っているキャラクターが、戦闘から脱落する。
クライマックスフェイズに回想シーンの効果を使用する。
こんな瞬間です。

目に浮かびます。
閉ざされた心が、自分以外の忍者に出会い、動く瞬間。
初めて戦いに赴き、傷を負う瞬間。
目の前で、恋した相手が敗れる瞬間。
敵を前に、自分の秘めたる決意を解き放つ瞬間。
少女の内側から爆発する力があるのです。
それは、『幽☆遊☆白書』や『BLEACH』、90年代の『花とゆめ』、『呪術廻戦0』の乙骨くんなどなど……何度も目にした光景です。
でも、それが自分のキャラクターに対して起こる。今、目の前で発生する。
それは、読むだけ観るだけとは違うのだと、私は断言できます。
喜びのあまり、泣いてしまうかもしれない。

ただ、こういう力はままならぬもの。
覚醒するタイミングでは、ランダムでなにが起こるか決まります。思うとおりに覚醒できるとは限らないのです。
覚醒したと思った忍法をまた忘れてしまったり、ただ力が暴走して、自身と周囲を傷つけたりすることもあるようです。
それもまた、ひどく甘美な光景ではないでしょうか。

使えるようになった力に強気になった少女が、なにもできぬ手を見て呆然とする。さっきまで高く跳躍できた足が、地上に縫い止められる。
苦しみだした少女に近づいた友人が、少女から発した気で吹き飛ばされる。クラスメイトたちが化け物のようにこちらを見ている。
やはり、よく見聞きした、でも体験はしたことのない光景です。

半忍のルールを読み終えた私は、深くため息をつきました。
思わず、呼吸を忘れてしまっていたようです。
脳がフル回転しています。
早く半忍キャラクターを作らなければ。

セッションが終わるとき、少女は、忍者の力とペルソナ、両方を併せ持つ強力な存在になっているのでしょうか。
それとも、やはり半端な、なにものでもない少女のままなのでしょうか。
そのどちらもまた、楽しみで仕方ありません。
これは、これから読む物語などではなく、私が、私の少女と共に体験する実際の出来事です。
ただ忍者たちだけが戦い合っていた私の内側の世界に現れた、半忍の少女。

忍者ばかりが跳梁する世界を私は十分に面白いと思っていました。
でも、違うのです。
この半忍の存在によって、私にとってのシノビガミの世界は、より鮮やかに、より劇的に、より叙情的に姿を変えたのです。
今まで以上に、私の感情を揺さぶるものが、目の前に現れたのです。

さあ、半忍をキャラクターを作りましょう。
私の少女は、シナリオに参加する瞬間を待っています。

あなたの世界にも変化の音が響きますように。

 

※シノビガミ

『忍術バトルRPG シノビガミ』。TRPG。
超人的な能力を持つPC、忍者を操り、秘伝書を奪い合ったり、世界を危機から救ったりする。
PC同士が敵対したり、秘匿ハンドアウトを調べ合ったりする。

※私立御斎学園

シノビガミの忍者たちが所属する組織、六大流派のひとつ。
力を持つ若者達を育成する目的を持つ。

※忍者

シノビガミのPC。すごい速さで動けたり、怪力を持っていたり、テレパシーで話せたりする超人。
流派と呼ばれる組織に所属している諜報員でもある。

※一般人

忍者ではないが、特殊な力をもつキャラクターたちのこと。

※忍法

忍者の持つ、特殊な技。作りたてのPCは5種類を持っている。

※奥義

忍者の持つ、とても強い技。初めて見たときは、かわせない。

※ペルソナ

一般人の持っている特殊な力のこと。

 

シノビガミ 流派ブック 私立御斎学園
版型■B5版
予価■1,800円+[税]
著■河嶋陶一朗/冒険企画局 カバーイラスト■七原しえ
発行■新紀元社
発売日■2022年7月30日
ISBN978-4-7753-2026-6