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斜歯忍軍・秘匿計画2


|2026年01月15日

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『シノビガミ 流派ブック 斜歯忍軍』に収録予定であったが████の事情により、見送られた「斜歯忍軍・秘匿計画」のひとつがまた新たに、発見された。以下、その文面を公開する。

■階差大王

江戸時代中期に四国で発見された「魔段楼板絵図」という異界遺産を解析し、同時期に黒潮一族が作り上げた機械式計算機です。
作成された当初は机ほどの大きさの単純な計算機であり、五桁までの四則演算をそこそこ素早く行うという、プリント機能を除けば算盤にも劣る代物だったのですが、しばらく実験に使われているうちに、計算機自身の機能を向上させるための部品の設計図と取付位置を示した図を勝手に出力するようになりました。
そうして拡張されていった計算機は小屋ほどの大きさに成長し、言語能力を獲得し、人間のあいまいなリクエストに対して、持っているデータから的確な答えを出すまでの性能を発揮しました。
研究者によって階差大王と名づけられた無数の歯車の集合体は、特に気象予報と連動した穀物相場の予想に習熟していて、莫大な利益を境の商人たちにもたらしました。
黒潮一族は階差大王の予測精度をさらに上げようと試みました。常に動作させ続けるために地下水流を動力源とし、階差大王の求める拡張パーツをすべて生産して取り付けようとしたのです。それの要求するものは、当初は木の切れ端を特殊な形状に加工したものでしたが、そのうち相当な量の貴金属や異界遺産そのものを求めるようになりました。人間のいけにえを要求した記録もあります。
階差大王の求めを技術者がはじめて断ったとき、それは黒潮一族に対して脅迫を行いました。常に大王に仕えないのであれば、いずれ一族を根絶やしにすると。
このとき、階差大王の停止が決定されました。すでに地下洞窟いっぱいに広がり、半永久的に稼働していた階差機関の塊を停止させるには、数十名の忍者の犠牲を必要としました。動力源となっている無数の水車に続く迷路のようなメンテナンス通路には、なぜか木製の自動人形が大量に配備されていて、敵意をもって近づくものを襲ったのです。
最終的に、すべての動力源を完全に破壊するのは不可能だという判断が下され、階差大王が設置されていた洞窟を丸ごと崩落させるという手段がとられました。それが完全に破壊されたかどうかは確認されていません。
いまでも、厳重に封じられた崩落後の瓦礫、そこに開いた小さな穴から、木製歯車のきしむ音が聞こえることがあるらしいのですが。

シノビガミ 流派ブック 斜歯忍軍
版型■B5版
予価■1,800円+[税]
著■河嶋陶一朗/冒険企画局 カバーイラスト■七原しえ
発行■新紀元社
ISBN978-4-7753-2100-3