お金がないので電車には乗れない。真夏の日差しを浴びながらルイは、遠くに見えるエイヘムランドを目指してとぼとぼと海辺を歩いていました。あそこへたどり着けば少なくとも働ける。働けば少なくともお金が手に入る。
そんな思いだけが突き動かす脚はけれどももう限界。ルイはとうとう砂浜にへたり込みました。
「はぁ、腹減ったぁ。それもこれも全部借金が悪いんや。おかんおとん、うらむでェ……て、何やこの紙切れ…」
砂にまみれた紙を拾い上げたルイは次の瞬間、弾かれたように立ち上がりました。
「アマルガムの娘たちを成敗せし者には願い事を一つかなえるやってぇ!?…こ、これや。あは!ウチ助かったぁ!」
突如、借金全額返済の目処が立ったルイはすぐさまホウキにまたがり、ものすごい勢いでお城を目指したのでした。
働けど働けど楽にならざる我が暮らし。こけつまろびつ渡世を行くは悲しき根無し草の宿命と知る。
たとえイバラの道であっても人は前に進まねば生きられず、ならば怨むは両親の、阿婆擦れ母とそのダンナ。 |
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